海の星

 

 

信じ切る

 

それはあらゆる星々たちが抱いている

全ての否定を全て肯定すること

 

 

目的だって?

それはただひとつ

 

あなたの命の綱を 願いの綱を

繋いでいくため

 

この綱は、憧れ ともいわれたりする

 

ただその為だけに、信じ切る

その願いは決して止まらない、まるでどこまでも伸びる橋のよう

 

 

 

 

このエネルギーは絶えず行き交うもので、かつ必死に動いている

 

その願いを動かしているのは、

あなたの知らないあなた

我ならざる我 であり 命ある限り消えない、あなたの揺れる影

 

 

あなたのがこの世界で獲得してきた全感覚

 

嬉しかったこと

楽しかったこと

悔しかったこと

悲しかったこと

 

これが感極まった とき

 

わたしの触覚が手にしている物・触れている者を獲得した そのとき

わたしの味覚が欲した美味を獲得した そのとき

わたしの嗅覚聴覚が誘われたイメージを獲得した そのとき

わたしの視覚が望む希望をその眼にとらえた そのとき

 

わたし は深く、長く、満たされただろうか

 

「まだ知らない、だって今なお満たされていないから」

―そうだろうか?

 

 

全ての否定を全て肯定すること

―本当は知っている。

この星に生まれ出る間際、あなたは確かに会得していた

 

母の羊水に満たされて

その形を完全なものにする為に、たった一本の

へその緒で繋がっていた

その緒を通して、我々は確かにすべてを受入れていた

望む人の形を獲得するために

なすすべもなく、貪欲に、純粋すぎるほどに

恩恵として、注がれるすべてを肯定し続けた

 

そして形とともに、もうひとつ手に入れた。

命をわけてその身に宿した人間が向ける 眼差しを、息遣いを、ぬくもりを。

—拒否する力も、受け入れる力もない無力な命にむけて

—無力なあなたの全てを肯定し続けてきた人の命

 

—その命の面影を、あなたは形とともに獲得した。

 

 

獲得した目的だって?

わたしの命の綱を ■■■■■

繋いでいくため

 

 

 

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いつから、目に見えるものだけ獲得してきた?

大切な片割れを置き去りにして、どこに行くつもりだ?

もうお腹がすいて動けないんじゃないか?

 

 

此岸の我々が永遠に渇望するもの

—完全

—不老不死

—尽きぬ恩恵

 

世界の

目に見えるものだけを望み、この望みを手にした者が

いつの日か人に課したのが義務

この義務が示すのは、<あなたが誰かに課したもの>

 

—しかし、原初の義務が示すのは、<あなたがあなたに貸したもの>

あなたの体が目指す先に動けるように、全意識が<主導権>を貸しているから。

そして、感覚が呼応したとき心身一如となって、あなたは

さらなる高きへ進んでいく。

 

 

なにかを成すために生まれてきている。

だから、自分のお役目があるはずだと意気込む。

お役目を荷った自分をいざ生かさん として

誰かを目覚めさせようとしたとき

 

まるで自分が目覚まし時計になって、機械的に示すことを自分に課していないか。

それを義務だと、していないか。

 

—しかし、原初の義務が示すのは、<あなたがあなたに貸したもの>

 

このタイミングだと、この信念だと決めこんだ義務がいざ果たされたとき

あなたは満たされただろうか。 深く・・・長く・・・

 

 

—あなたの体が目指す先に行けるよう、全意識が体に<主導権>を貸している。

そう、あなたが

「一生のうちに二度三度、指でかぞえるくらいの感動かもしれない」

「この日のために、生きてきたのかもしれない」

 

と、感動するように

 

原初の義務は、ただその為に<生きてほしい>と願っている。

あなたに課しはない。あるのは願いだけ。

 

欲 とまで降ろせば、、そこまで言わせれば

<幸せになってほしい>

多種多様な世界に迎えられて、力を合わせて育んだ豊かな可能性によって

幸せになってほしい。

 

たとえ過程のなかであっても、決してそのときのあなたを

否定しない。

生きていくうちに、進むに従って失ってきた数多の経験

深い喪失

 

—その願いを動かしているのは、

—あなたの知らないあなた

—我ならざる我 であり 命ある限り消えない、あなたの揺れる影

 

あなたを否定することは、今まで生きたあなたの片割れを否定することになる。

夢破れて、現実には無い妄想のなかで

自らのつくりだした幽霊に怯え、苦しみに支配されているあなたを

常に傍らで繋ぎとめている者がいる

 

誰か?

 

それはあなたの影であり、我を忘れてしまうほど怒り、悲しみに沈んだ

我ならざる我(無意識)だ

 

気付いていたかい。

泣きながら、必死になってあなたをこの地上に繋ぎとめていたんだぞ。

あなたが動けばその体にぴたりと寄り添う、足からのびる影を失わない為に。

 

あなたの魂の願いが、いつの日かこの星で叶うように、終わらせないために。

悪夢からあなたを救済するためだけに、その役目を果たしている

 

全てはあなたがあなたでいられるように

こころ照る日も曇る日も、安らかであるように

 

 

 

 

わたしの願いが、あなたたちの命がある限りつづきますように

この願いのままに

その命のままに

 

 

原初の義務を達成すること

やり遂げた、という感覚

成すべきことをなしていく度に我々は

自然・・・・この高い空や広い海、陽光を得るために枝葉を巡らす樹木に近づいていく。

永遠のように続く自然は、それだけで人より完成している。

甚大な介入がない限り<どこでも、いつでも変わらないから>。

(いつまでも未完成な木は、自然な木と見なされない)

 

やがて私も、ある自然も果てるとき

あれこれ思考を巡らせて、これまで獲得してきた私の豊かさは

思いがけず他に溶けて流れ出す

 

獲得してきたすべてを失っていき、この身が自然に溶け入っていく

 

 

私は私のすべてをかけて失っていく

そして、つぎつぎと原初の義務を果たしていく

 

注いできた願いが

私にどのような褒美を返してくるのか、

どこへ自分を連れていってくれるのか、

そんなことを考えて注いでいるわけではない。

私の魂が、ただ、行かん哉 行かん哉と私を動かしている。